注文住宅は自由度が高い一方で、コストが高くなる傾向にあるといわれています。しかし、実際には間取りや仕様、土地選びの工夫次第で費用を抑えながら理想の住まいの実現も可能です。この記事では、注文住宅が高くなる理由や建売住宅との価格差、そして費用を抑えるためのポイントについて詳しく解説します。
注文住宅が高くなる理由とは?
注文住宅が高いといわれるのは、基本的に定価がなく、間取りや設備などの選択肢が多いため、費用が変動しやすいからです。一般的に以下のような要因が価格上昇につながります。
土地と建物が別契約
注文住宅では、土地と建物が別々に契約されるケースが多く、結果、建売住宅よりも費用が高くなる可能性が考えられます。とくに土地購入時には仲介手数料や地盤改良などの追加費用が発生する場合もあり、総額が上がりやすくなっているのです。対策としては、土地探しから住宅会社に依頼し契約を一元化することによって仲介手数料の節約や付帯工事費の削減が期待できます。
オプションの多さ
注文住宅では、設備や内装のオプションが非常に豊富です。便利な機能やおしゃれなデザインに惹かれて、予算をオーバーするケースがよくあります。対策としては、オプションを慎重に選び、必要最低限のものに絞ると、費用をコントロールできます。生活スタイルに合わせた選択が大切です。
打ち合わせコストの増加
注文住宅では打ち合わせが複数回必要になるため、その分、担当者の人件費が建売住宅よりも多くかかる傾向があります。規格住宅などすでにプランが決まっている住宅商品の選択により、打ち合わせ回数やコストを抑制できます。
注文住宅と建売住宅の価格比較
注文住宅は自由度の高さから建売住宅より費用がかかる傾向にあります。注文住宅は、間取りやデザイン、設備の選択肢が多く、オプションの追加などにより総額が膨らむ可能性も高いですが、建売住宅はすでに完成した状態で販売されるため、コストを抑えやすいのが特徴です。
建売住宅と注文住宅の価格差
フラット35の調査によると、建売住宅の全国平均価格が約3,719万円であるのに対し、土地付き注文住宅の全国平均価格は約4,694万円といった、注文住宅のほうが約975万円高額になることが分かっています。しかし、注目すべきなのは、注文住宅は建売住宅と比べて延床面積や敷地面積が広いという点です。
注文住宅の延床面積は約111.5平方メートル、敷地面積は約201.6平方メートルで、建売住宅の延床面積101.9平方メートル、敷地面積136.9平方メートルに比べ、広さにおいても違いが明確です。住宅の価格は、単純に総額だけで比較するのは難しく、広い土地や大きな家を求めない場合、建売住宅と同じレベルの条件で注文住宅を建設すると、価格差の縮小が可能です。
また、注文住宅は敷地や間取りを自由に設計できるため、耐震性能や断熱性能など、性能面に対するこだわりを反映できます。自身で設計した間取りは、快適性や省エネ効果を高め、長期的なランニングコストの削減にもつながります。初期投資は高くとも、将来的にかかる光熱費や修繕費の削減ができるため、コストパフォーマンスを考慮すると注文住宅のほうがメリットが大きい場合もあるのです。さらに、注文住宅は建築途中で細部の仕様やデザインの変更が可能であり、自分たちの理想の家を実現できるという点でも優れています。
一方で、建売住宅は完成した住宅が販売されるため、建設に時間を要せず短期間で入居できるというメリットがあり、住宅購入に期限を設けている場合や急ぎで住まいを必要とする方に適しています。
注文住宅の費用を抑える工夫
注文住宅を建てる際の費用は、設計やオプション次第で大きく変わります。次では、費用を抑えつつ理想のマイホームを実現するためのコツを紹介します。
敷地面積と延床面積を工夫する
敷地面積や延床面積が広くなれば、当然コストも高くなります。逆に、コンパクトで効率的な間取りの工夫により、コストを抑えながら満足できる空間の確保が可能です。たとえば、勾配天井や小屋裏収納などを活用し、実際の床面積を増やさずに広く感じさせるというアイデアがあります。
勾配天井の活用
勾配天井は、空間に開放感をもたせつつ、無駄な面積を増やさないデザインです。コストをかけずにデザイン性を高めたり広さを感じさせる間取りが可能になります。
小屋裏収納の利用
生活スペース内で収納を増やすのではなく、使われていない屋根裏のスペースを収納として活用することで、延床面積を抑え、建築費を削減できます。
延床面積に含まれない部分に工夫を加える
バルコニーやロフト、吹き抜けなどは延床面積に含まれないため、工夫によってデザイン性を高めたり収納を増やし開放感やゆとりを感じられたりする空間が演出できます。
まとめ
注文住宅は建売住宅よりも高いといわれますが、間取りや土地、オプションの工夫次第で費用の調整が可能です。また、価格だけではなく、住み心地や耐震性、断熱性といった性能面も考慮に入れることで、よりよいコストパフォーマンスを追求できます。理想のマイホームを手に入れるには、事前にしっかりと計画し、優先順位を明確にする過程が重要です。